なぜインド仏教はヒマラヤを登ったのか?

チベット仏教

インドの地図を見ますと北側にはタスキを掛けたようにヒマラヤ山脈が続きます。
この全長は日本列島をすっぽり飲み込んでしまうほど長く、3776mの富士山の2倍の高さの山が100以上、8849mのエベレストを筆頭に8000m級の山も14あり、北極、南極に次ぐ世界第3位の氷河を有します。
この山脈から雪解けた水は、インドのガンジス川はもとより、パキスタンのインダス川、ミャンマーのサルウィン川、ベトナムのメコン川、中国の長江や黄河など多くの文明を育み、今もなお世界の10人に1人がヒマラヤ水系で暮らしています。
お釈迦様が生まれたエリアはインドとネパールの国境付近と言われていますが、地図を見るとヒマラヤ山脈の麓で緑豊かなエリアであったことが分かります。
チベットではエベレストをチョモランマと呼んでいますが、「世界の母なる女神」という意味です。
ガンジス川の沐浴が示すように、初期の仏教経典を見ますと、川について多くの記載が見受けられます。
今でも敬虔なヒンドゥー教徒はガンジス川を「母なるガンガー」と呼んでいます。
古代インドでは、太陽が父であるなば、川は母なる存在で、北に見える山脈の氷河は生命を生み出す起源と考えていたようです。
NASAやJAXAが生命の起源を宇宙の彼方に求めるように、お釈迦様から始まった仏教は、ヒマラヤの高く険しい山に真理を求め登って行ったのではないでしょうか。

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