花まつりと天道花

安楽寺の花まつり 天道
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今日4月8日はお釈迦様の誕生日で仏教のお寺では「花まつり」と呼ばれる行事が行われます。
日本では古くから4月8日を「卯月八日(うづきようか)」と言い、山の神や田の神を招く行事がありました。この際、人々は山へ行き、ツツジなど様々な花を採ってきて竹竿の上に飾り、天に向かって高く掲げました。これが「天道花(てんとばな)」と呼ばれ、これから始まる稲作や農作業のために神様を招く依り代とされていました。
この卯月八日に行われていた農耕儀礼が、仏教の行事であるお釈迦様の誕生日を祝う「花まつり」と結びつき、現在に至っていると考えられています。

卯月8日は旧暦なので、新暦でいうとツツジが咲き誇る5月初旬と時期が一致しますが、テントウムシの羽化が始まる時期でもあります。
テントウムシは漢字で書くと「天道虫」、アブラムシなど害虫を食べ、収穫した穀物を守ることから、こう呼ばれるようになりました。
竹ざおでツツジの花束を天高く掲げるのは、穀物の害虫を撃退するため天から遣わさた「テントウムシ」を呼び寄せるためかも知れません。

約250年前の江戸時代の記録を見ますと、花まつりの日は、子供が朝早く起き、お寺の寺子屋で甘茶をもらって帰ってきて、それを墨に混ぜて虫除けの呪いを書き、台所や便所などに逆さまにして貼っていたとされています。
甘茶の甘い香りもまた、天道様の遣わされた、テントウムシを呼び寄せるためだったのかも知れません。

当時の長屋では旬の魚が入ると男衆が切り分け、女衆がお皿を持参し、お裾分けをそれぞれの家庭に持ち帰っていたようですが、この台所にも甘茶で描いた呪いの貼り紙が見えます。

「千早振(ちはやふ)る卯月八日は吉日(きちにち)よ、かみ下虫(さげむし)を成敗ぞする」

ちはやふるは、勢い良く虫たちが這い出てくる様を表す枕詞で、花まつりの今日こそは穀物を荒らす害虫を撃退するぞ!との意気込みが込められています。

東京都立図書館「卯の花月(1848~1854)刊」より
https://www.library.metro.tokyo.lg.jp/portals/0/edo/tokyo_library/modal/index.html?d=5424


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