紀元前463年、世界に光が満ちたあの日。ルンビニーの花園で生まれた「命の尊さ」の物語をブログ記事にまとめました。
天上天下唯我独尊:その誕生が教える「命の尊厳」
今から約2500年前(紀元前463年)、釈迦族の王シュッドーダナ(浄飯王)と王妃マーヤー(摩耶)の間に、ひとりの王子が誕生しました。後の仏教の開祖、お釈迦様(シッダールタ)です。
今回は、『仏本行集経』などの仏伝に残る、神秘的で美しい「お釈迦様誕生の物語」をご紹介します。
美しき花園「ルンビニー」での産声
お釈迦様が生まれたのは、釈迦族の城(カピラヴァスツ)から東へ20数キロ離れた「ルンビニー」という場所でした。
ちょうど母マーヤー夫人が、出産のために実家へ里帰りをする途中のこと。美しい花々が咲き乱れるこの地で、王子は産声を上げました。
7世紀にインドを旅した「三蔵法師」として知られる玄奘(げんじょう)も、著書『大唐西域記』の中で「ルンビニーは清らかな池と美しい花が咲き乱れるところ」と、その景観を讃えています。
7歩歩いて宣言した「真理」
伝説によると、生まれたばかりの王子は、すぐに7歩歩いて立ち止まり、右手を天に、左手を地に指さしてこう言ったと伝えられています。
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」
この言葉は、しばしば「俺が一番偉い」という傲慢な意味で誤解されがちですが、本来の意味は全く違います。
- 「唯我独尊」の真意:「私たち一人ひとりが、他の誰とも代わることができない、かけがえのない尊い存在として生まれてきた」という、命の絶対的な尊厳を表しています。
- 「7歩」の意味:地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天という迷いの世界(六道)から一歩踏み出し、そこを超えた尊い存在として誕生したことを表現しています。
花まつりと甘茶の由来
日本では、お釈迦様の誕生日である4月8日に「灌仏会(かんぶつえ)」、通称「花まつり」が行われます。
お寺に行くと、花で飾られた小さなお堂(花御堂)の中に、天と地を指さす「誕生仏」が置かれ、柄杓で「甘茶」をかけますよね。実はこれにも由来があります。
- 花御堂: 美しいルンビニーの花園を模したもの。
- 甘茶をかける理由: 王子が生まれた時、9匹の竜が天から降りてきて「甘露の法雨」を注ぎ、産湯を使わせたという伝説によるものです。
- 蓮の花: 王子が歩いた足元からは、次々と蓮の花が湧き出て足を支えたと伝えられています。
世界で祝うお釈迦様の誕生日
日本では4月8日と定まっていますが、仏教国であるネパールやスリランカなど南アジアでは、インド暦のヴァイシャーカ月(西暦4月中旬〜5月中旬)の満月の日を「ウェーサーカ祭」として盛大にお祝いします。
国や文化は違っても、「かけがえのない命の誕生」を祝う心は、世界共通の祈りとして受け継がれているのです。



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