永代供養墓をお申し込みいただく方々に伺うと、大多数が次男、または三男で、お墓をどうしようか困っている方が多いことに驚きます。
日本では、明治以降、家父長制(長男がすべての財産を継承し一族を束ねていく制度)を中心とした「イエ制度」に移行したため、お墓は長男が継承し管理することが一般的になりました。
お墓の継承は民法で定められた通り、誰か一人だけが受け継ぐことになりますから、通常は長男が、お墓や祭具を受け継ぐ「祭祀承継者」となります。
このことから話が飛躍し、「次男以降は、ご先祖様がケンカするので、長男と同じ墓に入れない!」とかいった、まことしやかな都市伝説が流布されるようになりましたが、墓地埋葬等に関する法律では「誰でもお墓に入れる」ことになっています。
しかし、お墓の祭祀承継者が許可した人でなければ納骨できませんので、子や孫の代までは、皆で入ることも可能かもしれませんが、それ以降になると、祭祀承継者を探し出すことさえ困難になることも予想されますし、仲が良くなければ、祭祀承継者に断られるケースも出てくるかもしれません。
こうしたことから、明治以降に始まった墓は互助会システムや年金システムと同じで、先のことなど考えておらず、100年単位で考えると、個人で管理するには構造的に問題だらけの仕組みなのです。
安楽寺永代供養墓では、お寺に祭祀承継者となってもらい、それを申込者全員の親族が、お寺を中心に守っていく仕組みを取っていますが、それでも100年、200年後に、見たこともないご先祖様の面倒を、ちゃんと見ていただけるか不安は残ります。
数百年後、意味不明の墓地があれば、お寺の経営難からビルやマンション、コインパーキングに変わってしまうかもしれません。
私がお寺の法要や行事、発行する新聞をデジタル化し記録を残しているのは、200年後、300年後も、この仕組みが維持できるよう、後々の祭祀承継者に伝えるためです。
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