最近では、自然志向や費用を抑えたいニーズに応える形で「樹木葬」の人気が高まっています。
樹木葬は、墓石の代わりに樹木をお墓のシンボルとして植え、根元に納骨する自然葬です。
山や海に遺骨を撒く散骨と違って、お墓として管理され、許可されている場所に埋葬するため、正式なお墓として人気を集めています。
納骨スタイルも、「個別か合同か?」、「カロート(コンクリート製のスペース)か土に直接か?」、「人だけかペットも一緒か?」など、石も樹木もまったく同じです。

世界のお墓を見渡すと、エジプトのピラミッドや中米のマヤ文明、中国の秦王朝の墓など、どれも石造の墓ばかりで樹木は見当たりません。
石造は相当な費用がかかるため、王族・貴族のものが中心で、一般庶民は樹木を用いたお墓もだったのかも知れませんが、長い年月の間に風化して、現存するものが残っていないだけなのかも知れません。

未来永劫お墓が、子々孫々まで残ることを考えると、「断然、石に決まっている!」と思われがちですが、現実はそうではありません。
私の教室の近くには、江戸から明治にかけてと思われる古い墓地がありましたが、身寄りがなく管理もされずに雑草が生い茂り、よく見ないとお墓とは思えない状態でした。
ある日のこと、お墓1つ1つに、所有者は連絡する旨が記載された札がかけられました。
しばらくすると、ブルトーザーがやってきて、墓石共々根こそぎ撤去され、整地されたのです。
それから1年ほど経たぬうちに、きれいな都会の墓地として、新たなお墓が立てられ新規分譲が始まりました。
私たち周辺住民にとっては、キレイなってありがたい話ですが、苦労して大金をはたいて、やっとの思いでお墓を建立された当時の人たちの気持ちを思うと、このような無残な光景を目にすることは、無念極まりないことです。

確かに、石材のお墓は樹木より長い年月残りますが、石や樹木の寿命の前に、管理するお寺の寿命が尽きたら終わりです。
どちらも販売には民間業者が仲介するケースが多いですが、分譲マンションの販売と同じで、売り切ったら業者は手を引き、あとはお寺の努力次第です。
古い分譲マンションでは、修繕費用がかさむ一方、空き部屋も増えてくると、残った住民への負担は増すばかりで、共同のお墓でも同じ様なことが起きてきます。
お墓の材質も大切かも知れませんが、「どう埋葬するか?」よりも「誰が守っていくか?」が重要ではないでしょうか?