日本では4月8日をお釈迦様の誕生日として祝いますが、チベットではチベット歴4月の満月にシャカダワと呼ばれる誕生祭が行われます。
聖山カイラスの麓では、「ダルシン」呼ばれる柱にお経を書いた5色の祈り旗をなびかせる風習がありますが、年に一度、シャカダワの日に新しく交換されます。
この祈りの旗は「タルチョ」と言われ、5色の旗に書かれたお経が風でなびくことで、お経を読んだことと同じご利益があるとされています。
仮にお経が読めたとしても、意味が十分に分からないお経を音だけマネて読むぐらいなら、自然の風に託して読んでもらおうと考えたのでしょう。
交換される古いタルチョは、上の方がご利益が強いとされ、敬虔(けいけん)なチベット仏教信者も、この時ばかりは我を忘れ百貨店のバーゲンセールのように旗の奪い合いになります。
タルチョはチベットの自然信仰であるボン教が起源と言われていますが、最初は土地の神々に祈りを捧げる祈禱旗(きとうばた)として始まりました。
次第に、遊牧民や集団を示す旗印として掲げるようになり、軍旗、優勝旗から進化し、国旗、大漁旗、のぼり旗などに進化して世界に広がりました。
これが中国に渡り、万物は5種類の元素からできあがる陰陽五行思想(いんようごぎょうしそう)と融合し、七夕さまの五色の短冊や鯉のぼりの五色の吹き流しにつながります。
お寺でも五色幕(ごしきまく)など、五色の仏旗(ぶっき)が行事の際に掲げられますが、チベットの風習が元になったのではないかと想像します。
先日、曹洞宗のお寺でお経をパラパラ漫画のように声に出さず見るだけの看経(かんきん)というものを見せていただきましたが、鯉のぼりのように風になびくお経の旗を眺めているのも悪くありません。

タルチョの5色は次のような意味を持ちます

青-空-青龍-東
白-風-白虎-西
赤-火-朱雀-南
緑-水-玄武-北
黄-土-黄龍(キリン)-中央