中秋の名月とお釈迦様

お釈迦様

今日は秋のお彼岸最終日で、2021年は9月20日(月)から9月26日(日)までの7日間が秋彼岸とされています。

今年2021年の中秋の名月は9月21日で、満月と重なるのは8年ぶりでしたが、あいにくの雨で見ることは叶いませんでした。
「中秋の名月」といえば「満月」をイメージされる方も多いかもしれませんが、重なる年は限られていて、次のチャンスは来年と再来年です。

中秋の名月と満月が重なる日2021年9月21日2022年9月10日2023年9月29日

満月言えば、「モチをつくウサギ」ですが、ウサギは仏教と深いかかわりがあります。
お釈迦様の前世を描いた「ジャータカ物語」では、「わが身を捧げたウサギ」と言う話があります。

昔々、お釈迦様はウサギの子として生まれ、サル、ジャッカル、カワウソと共に暮らしていました。
ある時、菩薩様が4匹に言いました。
「明日は斎戒の日です、托鉢のひとがやって来たら食べ物を布施すれば、大きな果報があります」
※菩薩:(ぼさつ)悟りを求めて人々のために修行を積む者
※斎戒:(さいかい)祭祀を前に飲食や行動を慎んで心身を清める
※托鉢:(たくはつ)仏僧が鉢を持ち食物を乞うて歩く

3匹は必死に食べ物を探して歩きますが、ウサギだけは何も見つけられません。
次の日になると、4匹の前に僧侶が現われます。
ウサギは差し出すものが無く、僧侶に薪を集め火をおこすように願い出ます。

このわたしには ゴマがない。豆のなければ 米もない。火にとび込んで 焼かれたる。ウサギの肉を 召し上がれ。

その言葉を聞き心を打たれた僧侶が、実は自分が帝釈天(たいしゃくてん)であったことを打ち明けます。
そして、ウサギの優れた行いが永遠に忘れられることがないよう、満月にウサギの姿を描き天界へと戻られました。
※ 帝釈天:(たいしゃくてん)お釈迦様の時代に信仰されていたインドの神様。神々の王インドラと呼ばれ、インド最古の聖典「リグ・ヴェーダ」では最も多く登場。白い像にまたがり悪魔や敵を次々に粉砕したことから戦士の理想像として崇拝され、日本では映画「男はつらいよ」で有名な寅さんの名台詞「~帝釈天で産湯を使い、 姓は車、名は 寅次郎~」で有名。仏教と融合して守護神、雷神、軍神として祀られる。

このウサギの物語は「捨身供養」がテーマとなりますが、お布施は単にお寺を存続させる儀礼的なものではなく、菩薩様のように他の人々の為に我が身を捧げる者に対し、命を賭してでも支えようとする気概を持つことが大切であると教えています。

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