西遊記と仏教伝来(中国編③法顕 楼蘭)

沙河 中国仏教
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楼蘭への地獄の道

法顕らは李暠の支援により出発準備が整いましたが、新たに加わった新僧侶(孫悟空)らと経路を巡り意見が対立します。
法顕は先を急ぐので危険はあるが最短のルートである「沙河(さか)ルート」を、難所を知る新僧侶らは北へ迂回する「高昌(トルファン)ルート」を主張しますが、意見はまとまらず別々のルートを辿ることになります。

ただ死人の骨を道しるべとする

砂の河と書いて沙河は、延々と続く荒涼たる砂漠で、「行くこと十七日間、千五百里」
砂嵐で視界が悪く方向感覚が無くなる中で、老体には一行についていくだけでも大変であったと思われます。
西遊記では岸部シローさん演じる沙悟浄が、首からドクロをつなげた首飾りをつけて登場しますが、沙河の地獄を表現してのことでしょう。
「東方見聞録」のマルコ・ポーロもこのルートを使ったらしく、「意識が遠のき魔霊に襲われた」と記しています。

4千人の僧が暮らす楼蘭

「楼蘭(ろうらん)を制するものはシルクロードを制す」と言われたほど重要な拠点ですが、その存在は謎めいており、どのように誕生し、どのように滅亡した都市であるかは未だに不明のままです。
法顕伝によれば、「タクラマカン砂漠の東にあり、4000名の僧侶が暮らす・・・」とありますが、北側の天山山脈から流れ出る湧き水が作り出すオアシスはロプノール(塩の湖)は毎年位置を変え、共に歩む楼蘭は再び訪れるものを翻弄とさせました。

匈奴と漢民族の侵略を蜃気楼でかわし、幻とされた楼蘭は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の故事で有名ですが、命を投げ売ってでも手に入れるべき重要な国家であったことは間違いありません。
また、人工の25%が僧侶で、戒律に厳格な小乗仏教徒が暮らす仏教都市であったとの記録も残ります。

仏教を法顕らは無事に楼蘭へ到着しますが、当時の中国は大衆向けの大乗仏教と、厳格な掟で選ばれた少人数の小乗仏教が入り混じった中華仏教であったため、原初的なルールのみで生活する僧侶らの生活を間近で見るのは、さぞ新鮮であったと思われます。

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